三菱ふそうの小樽販社で起きたトラック販売詐欺を追う
陥った“負のループ”

2026年08月号

事件の舞台となった三菱ふそうの販売会社「北海道ふそう 小樽支店」(小樽市港町1丁目)

営業マンが繰り返した架空取引で6千万円の被害を受けた取引業者

大手商用車メーカー、三菱ふそうトラック・バス(本社・神奈川県川崎市/フランツィスカ・クスマノ社長)の販売会社である北海道ふそう小樽支店の営業社員が架空取引を繰り返し、取引先に大きな被害を与えていることが取材で分かった。昨年9月、この取引先は営業社員の求めに応じ、融資を受けて中古トラック3台を合計約6350万円で三菱ふそうから購入したが、ほどなくこの契約が架空取引だったことが発覚。取引先は「騙された」と返金を求めたが、10カ月経った今も三菱ふそう側は支払いを拒んだままだ。いったい小樽支店で何が起きていたのか──。(本誌編集長・工藤年泰)

実在しなかった転売案件


「売り先が決まっている中古トラック3台をひとまずそちらで買ってもらえませんか。中間業者として少し利益が出るようにします」
 昨年6月、30年以上、商売上の付き合いのある三菱ふそうトラック・バス(以下三菱ふそう)の販売会社からこう持ちかけられのが、商用車の整備や中古販売を手掛けるT社のS社長だ。この話を持ちこんできた営業マンは北海道ふそう小樽支店の正社員で、S社長とは10年近くにわたる顔馴染みだった。
 これまで小樽支店の依頼による車両整備や修理を多く手掛けてきた同社だが、あらかじめ三菱ふそうで売り先が決まっている商用車両をT社が仕入れて転売する──こうした依頼は過去に何度かあり、これまで問題が起きたことは一度もなかった。
 今回もS社長は応じることにしたが、3台分で合計約6350万円という現金は手元になかった。このため三菱ふそうから請求を受けて地元金融機関2行と交渉。返済原資がはっきりしている短期融資(返済期限3カ月)として決裁がおり、昨年9月29日までに全額が金融機関から三菱ふそうの指定口座に振り込まれた。

小樽支店の営業社員が作成したT社宛の請求書の一部 ※加工部分は本誌

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