上紋峠の周辺で進む国内最大規模の風力発電計画を追う【第3回】
周知不足の中で進む巨大開発
士別市長も事業計画を疑問視

2026年07月号

天塩川をせき止めて造った岩尾内ダム。右手後方の天塩岳の左側に位置する上紋峠の周辺に最大で50基、同30万キロワットの大規模風力発電所の建設計画が進んでいる

オホーツク海側と日本海側の分水嶺に位置する上紋峠の周辺に計画された、国内最大規模の風力発電所の建設事業。さる4月中旬には事業者側が滝上町内で法定説明会を開催し、今年9月には環境影響評価(アセスメント)手続きの第一段階となる「配慮書」の公表が予定されている。多くの道民が知らないまま既成事実が蓄積される中で、上川管内士別市ではどんな動きがあるのか──。取材を進めると、関係者から市民や行政、議会などに対する情報開示がほとんどなされず、関心が広がらない状況が伝わってきた。この計画に批判的な渡辺英次市長にもインタビューし、事業の問題点を探った。

(ルポライター・滝川 康治)


周知が足りない再エネ開発に市民の中から生じ始めた疑問


 グリーンパワーインベストメント(以下GPI)による、大型風力発電所(風発)事業の立地地域となる士別市の朝日地区(旧朝日町・人口9百余り)は、国内4番目の長流・天塩川の最上流部に位置する。天塩岳道立自然公園の一角に源流をもつ同河川には、総貯水量1億トン余り、国直轄の岩尾内ダムが建設され、70年代から現在に至るまで、同市の上水や農業用水、道企業局の水力発電などに利用されてきた。
 5月下旬、士別市内で風発計画についての認知度を聞いてみた。
「現段階では市民にほとんど周知されていないので、『良いとも悪いとも言えない…』が多くの人の正直な気持ちじゃないかな」
 と話すのは、毎年6月に天塩岳の山開きをする一方、登山道の整備などにも取り組む朝日山岳会の代表・井出俊博さん。道の駅「羊のまち 侍・しべつ」の駅長でもある。計画内容の一端を説明すると、
「非現実的な計画だし、あまり好まれるものではないような気がする。自然エネルギーの活用は悪いことではないが、コスト面などを考えると他の方法があるのではないか」
 とのコメントが返った。
 若い頃に地元の営林署に勤務した経験もある、80代の朝日地区住民・坂本勝己さん(日本野鳥の会会員)は2年ほど前、知人から、「このあたり(上紋峠付近)に風車が建つんだよ」との話を耳にしたが、これまで詳しい中身を聞いたことはない。設置数などについて筆者が説明すると、「50基とはすごい数ですよ!」と驚きを隠さなかった。

(わたなべ・えいじ)1972年士別市生まれ。士別高校を卒業後、建設設備会社社員を経て、2010年の市議選で初当選し3期連続当選。21年9月の市長選で初当選し、昨年再選され現在2期目

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(提供:坂本勝己さん)

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