
今後の展開が期待される「はぼろ温泉サンセットプラザ」(羽幌町北3条1丁目29)
苫前郡羽幌町(森淳町長)にある町有温泉「はぼろ温泉サンセットプラザ」(羽幌町いきいき交流センター)の指定管理者がこの春、20年ぶりに交代となり、今後の運営に期待が寄せられている。昨年、同町の公募型プロポーザルで北海道空港グループのセントラルリーシングシステム(本社札幌)が指定管理者に選定され、同町も今後の大規模改修を視野に入れている。「マウレ山荘」(遠軽町丸瀬布)や「千歳ステーションホテル」(千歳市)を所有・運営する同社は、これまでの宿泊事業で培ったノウハウを活かすとともに、地元や羽幌町とタイアップし留萌管内の観光拠点として新たな魅力を発信する構えだ。サンセットプラザ開業32年目に訪れた大きな変化と今後の展望をレポートする。
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「はぼろ温泉サンセットプラザ」は1994年12月にオープンした町有施設。地下1階、地上7階、延べ床面積7445.66平方メートル。ナトリウム塩化物温泉の「羽幌温泉」が1階に併設され、露天風呂もある。2階には300人収容の交流ホールを備え、客室数は40室となっている。
日本海に浮かぶ天売島と焼尻島をバックにした夏の夕陽は、羽幌の売りになっており、同町では現在の施設に近い海岸を海水浴やキャンプが楽しめる「はぼろサンセットビーチ」として1980年代後半から整備してきた。そのネーミングを引用して開業したのがこの施設。全客室がオーシャンビューで、茜色に輝く夕日を窓から堪能できるのが魅力だ。98年4月には「道の駅」にも指定され、「道の駅ほっと♡はぼろ」の中心的役割も担っている。
オープン当初は町の第3セクター羽幌観光開発が運営してきたが、町は2006年に指定管理者制度を導入し、アンビックス(本社札幌)が指定管理者に選定された。指定管理期間は10年間だったが、16年4月にはそのまま更新され、26年3月の指定管理期間の終了に伴い、事前の公募型プロポーザルにアンビックスとセントラルリーシングシステムが応募。選定委員会の審査でセントラルリーシングシステムが優先交渉権者に選ばれ、昨年末の議会承認を経て同社が新たな指定管理者として今後10年間、運営を担うことになった。
同町の指定管理者制度では、大規模修繕は町が担い、日常的な小規模の修繕は指定管理者が行なう規定になっており、町は以前から予算化していた温泉大浴場のタイル交換などの修繕工事をこの5月から実施してきた。このほどその工事を終え、6月1日から宿泊客、日帰り客向けに供用開始となった。このタイミングで大浴場がリニューアルしたことは、利用者はもとよりセントラルリーシングシステムにとっても大きな朗報と言える。
はぼろ温泉サンセットプラザの上山利基支配人は、「まずは以前の運営方法を踏まえ、関係機関や地域の事業者様のご意見をお聞きしながら順次変えるべきところを変えていきたい」と話す。
運営引き継ぎ直後は1泊朝食付プランと素泊まりプランのみの提供だったが、6月からは1泊2食(朝・夕)付プランを復活させた。前指定管理者時代の「はぼろ温泉サンセットプラザ」で腕を振るっていた料理長と、セントラルリーシングシステム社が運営する「マウレ山荘」の料理長経験者がタッグを組み新たなメニュー開発にも乗り出している。前指定管理者時代に勤務していた従業員のうち33名も引き続き雇用した。
セントラルリーシングシステムの樋口玲貴販促企画・広報部兼事業部調査役(ホテル担当)は、「施設は天売島、焼尻島を含めた観光の拠点となっているだけでなく、地元の方々にとってもまちの中心的施設になっているので、例えば女子会プランのように地元の人たちにもっと利用してもらえるように工夫していきたい」と話す。「道の駅」の機能についても強化する考えだ。「留萌管内にはブランド牛、ブランド豚のほか米などの農産品や生乳などの乳製品、甘えびなどの水産品にも大きな魅力がある。増毛町にはフルーツやお酒もあるので、オール留萌の特産品を紹介して管内の魅力を打ち出すショールームのような機能も持たせたい。将来的には地元企業様やメーカー様、地域住民の方々とのコラボ展開を目指していきたい」(樋口調査役)と意欲的。今年10月には「全国の道の駅シンポジウム」が「道の駅るもい」(留萌市)で開催されるため、「道の駅ほっと♡はぼろ」の運営事業者として参加し、羽幌の魅力を伝える取り組みも行なう予定だ。
今回の指定管理者変更を受け、施設の所有者である羽幌町も大きな期待を寄せている。
森淳町長は「3年前に町長に就任して以降、羽幌のブランディングをあらためて再構築したいと考えてきた。ふるさと納税は増加しつつあるものの、地元の魅力や独自性をはっきり打ち出せていないこともあって大きく伸びていない。サンセットプラザを今後再構築するブランディングのシンボリックな存在にしたい」とコメント。町としても積極的に地元の発信拠点となるように関与していく方針を示している。
町は年度末の今年3月、公共施設マネジメントのアクションプランを見直して今後10年間の設備更新計画を策定した。「はぼろ温泉サンセットプラザ」に関しては、2~3年後から約10億円をかけて大規模改修を行なうことにしている。メインは冷暖房設備や浴場用ボイラー施設の更新で、客室のリニューアルにも取り組んでいく予定だ。
羽幌町には世界有数の海鳥の繁殖地として知られる天売島、そして25年1月号の本誌で紹介した「焼尻めん羊牧場」を抱える焼尻島という2つの離島がある。そのほか「道の駅ほっと♡はぼろ」の施設で、この6月下旬に見頃を迎える「はぼろバラ園」、リフトと2コースを備えた「羽幌町民スキー場 びゅー」、かつて町の繁栄を支えた羽幌炭鉱の遺跡など多くの観光資源がある。
一方、北海道空港グループであるセントラルリーシングシステムは、これまで不動産開発・賃貸・ファシリティマネジメント事業や建設事業、ホテル事業、オリジナル菓子ブランド「朔風堂」の運営、飲食事業、リース事業、保険事業など多岐にわたる事業を展開。多くの分野で培った実績やノウハウがある。そんな同社は町との連携を強めて「はぼろ温泉サンセットプラザ」を核にした地域活性化に寄与していく考えだ。
開業32年目に訪れた指定管理者の変更が、地域にとって大きな実りに繋がっていくことを期待したい。