
後列左から篠原校長、山田社長、中島教育長。前列は静内農業高校の生徒たち
(5月27日午前、厩舎の新築地鎮祭で)
日本で唯一、サラブレッドを育てる高校に大きな朗報が届いた。日高管内新ひだか町にある1978年開校の北海道静内農業高等学校は、軽種馬の生産・育成から競りまでの全工程を生徒自身が手掛けることができる教育拠点として知られるが、築半世紀近くとなり老朽化した厩舎の更新が大きな課題だった。これに厩舎建設資金1億5千万円を寄付し、救いの手を差し伸べたのが、北海道彌生(やよい)ホールディングス(本社札幌・長谷川尚功(なおかつ)代表取締役会長)。今後の事業展開を踏まえ北海道の一次産業を支援する同社の取り組みをレポートする。
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優駿が育つ牧場群の一角にある静内農業高校(篠原圭校長・生徒数164人)は食品、畜産、園芸など農業を支える人材を広く育成しているが、全校生徒のうち約6割が生産科学科に属し、多くの若者が馬コースで「馬学」や「馬利用学」を学んでいる。そんな同校の最大の特徴は約36ヘクタールという広大な実習地を備えていることだが、築50年近くになる厩舎の老朽化が大きな課題だった。
そんな同校へ「新しい厩舎の建設」というこのうえない贈り物をしたのが、東京にルーツを持つ北海道彌生HD。このほど同社は北海道教育委員会(中島俊明教育長)を窓口に新築資金として約1億5千万円を寄付。建設スケジュールが固まったことを受けて5月27日、現在の厩舎前で地鎮祭が執り行なわれた。
神事の後で北海道彌生HDの山田健蔵取締役社長、中島教育長、篠原校長の3人が報道陣の取材に応じ、それぞれ喜びのコメントを述べた。
「2年前に北海道に進出した弊社は、道内でナマコ養殖や生乳生産といった一次産業も手掛けている。今後の事業展開にあたり地域貢献していくことが何より大事だと考えており、地元の皆さんから提案を受けて今回の寄付を決めた。この厩舎新築で未来ある若者の皆さんに貢献できることを嬉しく思う。いつか弊社が、ここで育ったサラブレッドの馬主になってレースで走らせることを夢見ている」(山田社長)
「北海道は教育関係のインフラ整備として最優先でエアコン設置に取り組んでおり、限られた予算の中で学校設備の更新がどうしても後回しになっていた。その中で今回のような寄付は本当に有り難い。施設の魅力が高まることで、生徒がさらに集まることを期待したい」(中島教育長)
「今回、厩舎の新築資金を寄付していただいたことに職員生徒一同感謝の気持ちでいっぱいだ。本校には遠く九州から入学してくる生徒もいる。馬の生産部門だけではなく、部活動として馬術にも取り組んでおり、全国レベルで活躍してきた伝統もある。そういう中で教育環境の充実が図られることは、本当に喜ばしい出来事だ」(篠原校長)
北海道彌生HDは、東京都中央区の銀座を拠点に不動産業などを展開する老舗企業、彌生興業(長谷川尚功代表)が北海道進出にあたり設立した現地法人という位置付け。既報のように24年6月には胆振管内豊浦町でナマコの陸上種苗生産事業に乗り出し、昨年6月には札幌市内で自社ビルを取得して事業基盤を固めてきた。今回の厩舎新築以外にも一次産業を後押しする一環として、この春に根室管内の別海町や中標津町など7つの自治体に企業板ふるさと納税を通して合計2千万円を寄付している。
新厩舎は本年12月下旬にも完成予定で、旧第二厩舎も改修され、トイレや更衣室なども併設されるという。
地鎮祭での記念撮影に参加した馬術部の男子生徒のひとりは、「新しい厩舎ができるのは本当に楽しみ」と目を輝かせていた。
奇しくも今年は「午年」。そんな年に決まった、生徒たちが学ぶ実習施設の再整備となる厩舎の新築は、まさに地域の未来への投資と言えるだろう。