
シンポジウムでマイクを握る金子元校長
(札幌市北区の札幌エルプラザ3階ホール)
3月23日夕、札幌市内で「これからのいじめ対応と週刊文春が作り上げた『旭川14歳いじめ凍死事件』」と題した公開シンポジウムが開かれた。この事件は2021年3月下旬、旭川市内の公園で凍死した状態で発見された中学2年の廣瀬爽彩さん(当時14歳)が凄惨ないじめを受け自殺したとされるもの。今回のシンポには、廣瀬さんが入学した旭川市立北星中学校で当時校長を務めていた金子圭一氏(65)など6人が登壇。マスコミやネットで「隠蔽校長」の烙印を押され、バッシングを受けてきた金子氏が初めて公の席で語った内容とは──。
(佐久間康介)
今回のシンポジウムは「札幌・旭川市民の会」が主催し、約50人が参加。当日の3月23日は、廣瀬爽彩(さあや)さんが遺体で見つかった日であり、開催前にホールに集まった全員で彼女に黙祷が捧げられた。
口火を切ったのは旭川市議の上野和幸氏。市議以前に旭川市立中学校の校長を歴任し、教育問題に精通する同氏は「旭川のいじめ事件は、全国で起きたこれまでのいじめ事件とは大きく違う」とし、「問題とされた行為は学校の外で行なわれ、当時の廣瀬さん自身がいじめを否定している。学校側は、ウッペツ川での出来事まで一切そのような認識を持っていなかった」といじめの有無に言及。そのうえで「自分で独自に調査を行なったが、再調査委員会が自殺と認定したことは疑問で、個人的には自殺ではないと思っている。彼女が持っている特性と失踪当日に何があったのか、そして服用していた薬の影響と医療のあり方、それらが複合的な要因となり死に至ったと思っている」と話した。
廣瀬さんが2019年に入学した旭川市立北星中学校の校長だった金子圭一氏は、『私が“隠ぺい校長”にされるまで(偏向報道と行政の横暴)』と題したA4・10枚の資料を参加者に配布。それらの資料では、金子氏が2021年3月から市教育委員会や北星中学校関係者とやり取りしたLINEの内容が示された。
金子氏は、「最初の第三者調査委員会は文春オンラインと地元月刊誌の報道の誤りを明確に指摘しており、とりわけ地元月刊誌の報道については杜撰で事実と合致するところがほとんどなく、強く非難されるべきだと厳しく糾弾している」と黒塗りで隠された部分を指摘し、「ありもしないことを書かれ、当時は驚愕し、今でも悔しさを禁じ得ない。爽彩さんは懸命に生きようとしていた。大事に守り育ててきた生徒たちの人格を傷つけたこれらの記事は到底容認できない」と語った。