苫小牧・老舗ガス業者で“独裁”か②
実弟告発「社長は退任を」

2025年06月号

地域のインフラを担うガス会社は1961年設立、社外取締役には苫小牧市の副市長や地元企業の役員などが名を連ねる(苫小牧市の苫小牧ガス)

ガス会社パワハラで新証言
子会社元役員の裁判も佳境


昨年2月号の本誌面で報告した、公益企業のパワーハラスメント疑い。暴言などの被害を労災認定された元子会社役員の裁判が続く中、本社内からも新たな告発の声が上がっていたことがわかった。証言の主は本来ならば現在もその職場に籍を置いている筈だったが、社内で目の当たりにした社長のハラスメントを諌め続けた結果、退職に追い込まれることになったという。社を離れた今も声を上げ続けるその人は、渦中の社長がよく知る人物――実の弟だ。

取材・文=小笠原 淳

退職届に「パワハラ」明記


 その告発文が6人の社外取締役に宛てて送られたのは、昨年11月下旬のことだった。
《社長としての自分の能力のないのをパワハラでごまかす、こういったことを許していいのか》
《社長によるパワハラで苦しんでいる人はこの会社にまだまだいます。本人は口に出さないものの、精神面をやられてしばらく入院していた人もいます》
 告発者がその会社に迎えられたのは、2021年3月。総務部門の課長職を任され、のちの任期更新で本来ならば本年10月まで雇用関係が続く筈だった。当初の期限までに1年を残し、先の文書を作る直前に職を辞すことになった理由は、自筆の「退職届」にこう記されている。
《社長より理不尽な退職を強要され、パワハラを受けたことから嫌気がさし、令和六年十一月二十日をもって退職します》
 明記された「パワハラ」の舞台は、苫小牧市の都市ガス事業者・苫小牧ガス。筆の主は、現社長(66)の実弟(64)だった。

隣室から響いてくる怒声


 実兄たる社長からその人に声がかかったのは、課長職の1つに空席ができたためだった。本年4月に苫小牧市内で取材に応えたその男性は、入社当時をこう振り返る。
「前の仕事を辞めた理由の1つが、たまたま職場のパワハラ問題でした。兄もそれを知った上で声をかけてきた筈なんですが…」
 配属された総務部門の執務室は、社長室の隣りにあった。入社後ほどなく、その隣室から聴こえてくる声に男性は驚愕。異常な剣幕で社員を叱責する言動は、ハラスメント以外の何物でもなかった。

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「社長は本来2023年に退任する予定だったのに、元役員の裁判を理由に任期を延長させた。従業員にとっては不幸な話です」と、社長の実弟である元社員(4月下旬、苫小牧市内)

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