これからの北海道観光を探る【美瑛町編②】
観光公害防止条例が4月施行 だがこの冬新たな迷惑行為も

2023年04月号

有名な「青い池」でも迷惑行為が確認されている
(写真は冬のライトアップ 提供=美瑛町観光協会)

観光客が地域資源を傷付ける現実

「観光公害」という強い言葉が用いられるほど、農地や立ち入りが禁止されている景勝地への無断侵入など、観光客の迷惑行為が深刻な問題になっている上川管内の美瑛町。その対策として町は2月27日、観光公害を防止する内容の「持続可能な観光目的地実現条例」を制定。4月1日より施行する。春からの本格的な観光シーズン突入後、この条例が観光公害を防ぐどれほどの効力を発揮していくのか気になるところだ。だが美瑛町では本来オフシーズンであるこの冬に、観光客が超過となる事態に直面。それに伴い新たなケースの迷惑行為も見受けられるようになったという。

(髙橋貴充)


罰則なしに不安の声も


「良好な景観に損害を及ぼすおそれのある行為」「生活環境の保全に支障をきたすおそれのある行為」「他人の私有地への無断立ち入り」を禁止し、これらの迷惑行為が認められた場合には町長が立ち入り制限区域を指定でき、それを示す標識を設置することができるという、美瑛町の「持続可能な観光目的地実現条例」。通称・観光公害防止条例。
 町商工観光交流課の平田敦史観光振興係長は、「農業に悪影響が出るので無断で農地に立ち入らないで下さい、ですとか、迷惑行為をやめて下さいと呼び掛けても、これまではあくまで“お願い”で、拠り所となるものがありませんでした。その拠り所となり得るのが今回の条例です。前文でも謳っていますが、景観など美瑛の観光資源を守るためには、観光客の皆さんにも協力して貰わなければならないんです」と話す。
 ただ同条例に罰則はなく、まちの観光事業者からは「もっと厳しい内容にして欲しかった」「罰則がないので、効果はあまり期待できない」といった声も聞かれた。
 美瑛町の観光公害との闘いは10年以上に及ぶものだ。その始まりは2012年に同町白金の景勝地「青い池」が、Apple社OSの壁紙画像に採用されたのを契機に起きた、いわゆる青い池ブームから、とも言われている。それまで年間120万人前後だった観光入込客数が以降急増し、ピークの2019年度には約240万人と倍増した。それと連動するかのように、いわゆる観光公害も深刻化していく。

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