狩人、銃を奪われる③
民家至近に1カ月

2020年9月号

独り立ちしたばかりのオスとみられるヒグマは、鶏の飼料を狙って養鶏場に通い続けた(8月1日午前、砂川市一の沢)=北海道猟友会砂川支部提供の動画から

銃不使用の砂川でヒグマ騒動270kgオス 養鶏場荒らす

地元猟友会役員が銃所持の取り消し処分を受けた砂川市で、養鶏家の自宅敷地内にヒグマが連日出没し続ける事件が起きた。ハンターが発砲できない状況の中、市の担当課は箱罠を設置してクマを捕獲。結果的に人が危害を受けることは免れたが、関係者の間で緊張の糸は張り詰めたまま。「次に出たらどうするのか」。地元では今も、銃による駆除ができない状況が続いている。(取材・文=小笠原 淳)
 

「いつ襲われるかと…」

 
「殺さずに済むのであればそのほうがいいとは思うんですが、いつ襲われてもおかしくない状況では、それどころじゃなかった」
 砂川市の養鶏業・吉野徹さん(62)は、およそ1カ月間にわたって続いた騒動を振り返る。敷地内の鶏小屋に通い続けた招かれざる客は、結果的に大量の飼料を喰い荒らしたのみ。だがもしも鶏に、あるいは人間に関心を示していたら――。
「今回はたまたまそういうことがなかったからよかったものの、近くには小学生が登下校する道もあります。ほかの町だったら早めに手を打てたかもしれないのに、砂川ではそもそも銃を使えないと。歯痒いというより、腹が立ちましたね。地域住民を見捨てるのか、と」
 初めて異変に気づいたのは、7月3日の早朝。倉庫の扉が何者かに開けられ、鶏の飼料が荒らされていた。
「泥棒か?」。再発防止のため、以後は扉に鍵をかけることに。すると1週間後、今度は扉そのものが壊されていた。ひしゃげた戸枠。飛び散ったガラス。小屋の周囲には、子供の頭ほどある大きな足跡。
 ヒグマだった。
 

道公安委との裁判を続ける池上治男さんは、銃所持許可の取り消し処分について「自分だけの問題ではない」と訴えている(7月3日、札幌地方裁判所前)

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ヒグマは食欲旺盛で、現場には500kgほどの麦を引きずった跡が残っていたという(7月18日早朝、砂川市一の沢)=道猟友会砂川支部提供

道公安委との裁判を続ける池上治男さんは、銃所持許可の取り消し処分について「自分だけの問題ではない」と訴えている(7月3日、札幌地方裁判所前)

ヒグマは食欲旺盛で、現場には500kgほどの麦を引きずった跡が残っていたという(7月18日早朝、砂川市一の沢)=道猟友会砂川支部提供

 

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