余市・齊藤啓輔町長に「ワインによるまちづくり」を訊く
地域にある成長の芽を育て人口減少の中で所得を向上

2026年10月号

「地域の可能性を広げるのが首長の仕事」と語る齊藤町長

世界の銘醸地が認めた余市のワイン


任期満了に伴う後志管内余市町の町長選が8月18日に告示され、無投票で現職の齊藤啓輔氏(44)の3選が決まった。齊藤氏は8年前の町長就任以来、余市産のワイン、地元のワイナリーによるまちづくりを進め、ふるさと納税の寄付額を就任時の1億円未満から19億円にまで増やす実績をあげた。さらに昨年2月には、世界最高峰のワイン産地として知られるフランス・ブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を結ぶなど、世界を視野に入れた政策が評価されている。当選決定直後の齊藤町長を訪ね、ワインによるまちづくりの現状と今後の展望を訊いた。キーワードは「地域にある成長の芽」だ──。
(8月21日取材 工藤年泰・武智敦子)

ワインの国際資格を有する町長が着目した余市の財産


──いま余市は、ワインの新たな銘醸地として世界から熱い視線を浴びています。8年前、町長選に挑んだ時からこの分野に着目していたのでしょうか。
 齊藤
 天塩町副町長の頃に食のプロジェクトをやっていた関係で、道内の生産者とつながりができ、余市のブドウ農家さんとも付き合いがありました。余市のワインも飲んでいたので、その素晴らしさは認識しており、成長産業のひとつだと思っていました。ワイナリーの数は当時15軒ぐらいでしたが、今は20軒、さらに増えつつあります。
──何かを大きくしていくには、芯が必要です。余市における8年間のまちづくりの芯は、世界で勝負できる高付加価値のワインだった。
 齊藤
 そうです。ボルドーやカリフォルニアなど世界には有名なワインの産地がありますが、若者のアルコール離れなどに伴い消費量はどんどん減り、ボルドーもカリフォルニアもブドウ畑を抜根し、作付けを縮小しています。そうした中で堅調なのがフランスのブルゴーニュ地方です。ここには小規模で高品質なワインを生産する小さなワイナリーが多くあります。そして余市もまさにそんなスタイルを目指しています。

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ジュヴレ・シャンベルタン村との親善都市協定締結式(左からクリストフ・ルカンド村長、齊藤町長。2025年2月8日、フランスの同村で)※写真提供:余市町

町内の酒店には余市・仁木産のワインが並ぶ(撮影協力・中根酒店)

ドメーヌ・タカヒコのナナツモリ展望台からヴィンヤード(ブドウ畑)を望む(町内の登町地区)

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