ラピダス稼働で北海道の電力事情はどうなるのか?
原発再稼働の呼び水か
国産先端半導体の製造工場「ラピダス」などの稼働にともない、停止中の泊原発(写真)の再稼働に向けた世論誘導も──。今後の電力需要の増加にともなう影響について、掘り下げた議論はない
電力の大量消費が生み出す道内経済の負のスパイラル
千歳市内で次世代半導体の量産をめざすラピダスが4月1日、2ナノ半導体の量産に向けた試作を始めた。政府から巨額の支援を受け“国策企業”としての稼働だが、量産化にともなう環境への負荷や道民生活への影響などは示されないままだ。ラピダスの稼働にともなう北海道の電力事情の変化もそのひとつで、企業側から今後の電力需要をめぐる詳細な情報提供はなされていない。こうした状況に対し、環境工学などの研究のかたわら、自然エネルギーの普及促進活動に奔走してきた山形定さんは、「半導体デバイスの製造プロセスは複雑・微細化し、電力消費量が増えていく。情報開示が不十分で確度の高い推定はできないが、ラピダスの消費電力は道内需要の10%を超える可能性もある」と指摘。「需要の増加を泊原発3号機の再稼働で賄えば、バックアップ用の火力発電所も増え、自然エネルギーによる電力の強制停止が行なわれて、北海道経済や道民生活に大きな影響を及ぼす」と警鐘を鳴らす。今回は、NPO法人さっぽろ自由学校「遊」の半導体講座での山形さんの講演要旨を紹介する。
(ルポライター・滝川 康治)
半導体の製造に多額の税金投入
回路の微細化で増える電力消費
(やまがた・さだむ)1961年、山形県山形市生まれ。 山形大学工学部応用化学科卒業。東京大学大学院工学系研究科化学エネルギー工学専攻博士課程修了。89年に北海道大学工学部助手となり、今年3月末に定年退職(専門は環境工学など)。36年におよぶ北大での研究者生活のかたわら、自然エネルギー関連の活動に取り組み、2012年からNPO法人「北海道新エネルギー普及促進協会」の理事長を務める。札幌市在住
建設工事が進む先端半導体工場「ラピダス」(昨年10月撮影)
電力需要伸び率で北海道の産業用が最高(電力広域運営推進機構の資料・山形さん提供)
北電の出力制御の一例。電力が余り、太陽光5.6%、風力12.8%を停めた(山形さん資料から)
(やまがた・さだむ)1961年、山形県山形市生まれ。 山形大学工学部応用化学科卒業。東京大学大学院工学系研究科化学エネルギー工学専攻博士課程修了。89年に北海道大学工学部助手となり、今年3月末に定年退職(専門は環境工学など)。36年におよぶ北大での研究者生活のかたわら、自然エネルギー関連の活動に取り組み、2012年からNPO法人「北海道新エネルギー普及促進協会」の理事長を務める。札幌市在住
建設工事が進む先端半導体工場「ラピダス」(昨年10月撮影)
電力需要伸び率で北海道の産業用が最高(電力広域運営推進機構の資料・山形さん提供)
北電の出力制御の一例。電力が余り、太陽光5.6%、風力12.8%を停めた(山形さん資料から)
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